「ミュラー・リヤー錯視」を応用した錯視図形です。「ミュラー・リヤー錯視」では矢羽形の斜線が水平線に接していますが、その部分を円にしても同様の効果が現れていることを確認することができます。シンプルな幾何学図形の組み合わせですが、錯視効果は顕著に現れています。線の太さが均一で、図の配置も適切です。
正方形の辺が同心円の線に影響し湾曲して見えるため、やや膨らんだ正方形に見えます。この作品は「オービソン錯視」を応用した錯視図形だと考えられます。正方形を線ではなく、灰色の塗りによって表現しているため、錯視効果がより強く現れているように思います。先に正方形を灰色に塗っておき、乾燥後に製図ペンで同心円を作図しています。作業手順を考慮しなければならない錯視図形で、慎重に作業を進めているだけでなく、前もって計画を練って作図に臨んでいる点も高く評価できます。
「ジョバネッリ錯視」を応用した錯視図形です。上下に少しずらしながら横に並べられた同じ大きさの円の中に、上は短い線分、下は黒いドットを水平に一直線状に置いているのですが、その線分やドットが上下にずれて見える錯視です。「ジョバネッリの錯視」の原理を理解し、円の枠の中の図が異なっていても、同様の錯視効果が得られることを検討しながら作図したと思われます。
この錯視図形は知覚心理学者で錯視に関する多くの著作物を発表している北岡明佳の「市松模様錯視」を展開した「膨らみの錯視」です。「カフェウォール錯視」を応用した錯視図形で、この錯視図形を完成させるためには、根気のいる作業を要し、絵具の汚れも錯視効果に影響するので、仕上がるまで慎重に進めなければなりません。しかし、完成すると作成した本人が驚くほどの錯視効果を顕著に知覚することができます。長時間集中して作業したと思われます。